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高血圧症

内科
高血圧症

高血圧症とは

心臓には部屋が4つあり、そのうちの左心室が全身に血を送るポンプとなります。左心室から駆出された血液は大動脈を通り全身に届きます。
この左心室からでていく血液が動脈にかける圧力が、血圧と呼ばれます。

血圧には収縮期血圧と拡張期血圧があります。
収縮期血圧は左心室の出口が開き、血液が駆出された際に押し出す力(最高血圧)をいいます。また拡張期血圧は左心室の出口が閉まり、大動脈から全身に血を送っている際の圧力(最低血圧)をいいます。

高血圧の定義は、収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方、もしくは両方が高くなることを言います。
測定で収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断します。
また患者さんの既往症によっては、目標とされる血圧が人により異なります。

血圧は体に負荷をかけたり、寒くなったりすると一時的に上昇しますが、一時的な血圧上昇は「高血圧症」とは呼ばれません。
高血圧症とは、安静にしているにも関わらず慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。

高血圧は日本人に最も多い病気で、高血圧人口は4,000万人以上と言われています。

慢性的に高血圧が続くと、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病など様々な動脈硬化性疾患の原因となります。

高血圧症の症状

高血圧症は自覚症状を感じることはほとんどありません。
血圧が高い時にみられる症状としては、頭痛・めまい・むくみ・動悸・肩こりなどがありますが、症状があったとしても高血圧によるものか判断が難しいこともあります。

自覚症状に関わらず、高血圧により血管への負担が蓄積され何らかの障害が引き起こされた場合に、初めて症状が出ることが多いです。放置することにより様々な合併症を引き起こすことになります。
高血圧の合併症としては、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・脳卒中(脳梗塞・脳出血)・慢性腎臓病(CKD)・糖尿病・不整脈などがあります。これらの合併症を引き起こすと生命やその後の生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

血圧は、ご家庭での血圧測定や健康診断、他の病気時に測定するためご自身で「高血圧である」ということを判断しやすい病気でもあります。
血圧が高いと感じたら、症状がなくても医療機関に早めに相談するようにしましょう。

高血圧症の原因

高血圧の原因は大きく以下の2つに分類されます。
原因が特定できない「本態性高血圧」、原因が特定できる「二次性高血圧」と呼びます。高血圧症のほとんどは「本態性高血圧」で「二次性高血圧」は1割未満です。

本態性高血圧症

高血圧の方の約90%が該当します。本態性高血圧の場合、原因ははっきりと特定できませんが、加齢や遺伝的な要因、生活習慣(塩分の取りすぎ、肥満、野菜・果物不足(ミネラル不足)、運動不足、ストレス、喫煙、アルコールなど)の環境要因が複合的要因が関与していると考えられています。

二次性高血圧症

何らかのはっきりした病気があり、それが原因で高血圧をきたすものを二次性高血圧症といいます。
原因としては腎臓や甲状腺など、様々な内臓に別の疾患があることで引き起こされる場合や、睡眠時無呼吸症候群によって深い睡眠がとれず、交感神経が活性化することで血圧の上昇を招く場合、飲んでいるお薬による副作用で高血圧が引き起こされている場合などがあります。

高血圧症の診断基準

血圧測で最高血圧が140mmHg以上あるいは最低血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断します。

高血圧症の治療法

高血圧症の治療では、主に2つの方法があります。生活習慣の改善と薬による治療です。
生活習慣の改善だけで血圧が下がらない場合、血圧を下げる薬(降圧薬)の適応となります。
高血圧の治療の目的は、血圧を下げる事そのものではなく高血圧による虚血性心疾患や脳卒中などの合併症を防ぐことです。

生活習慣の改善

  • 食事(減塩、野菜・魚を中心に)
    特に気を付けたいのが食生活、その中でも塩分量です。WHO(世界保健機関)が健康の目安と提唱している塩分量は「1日6g」ですが、日本人の平均の塩分摂取量は「1日13g」と言われています。
  • 運動(有酸素運動)
    ウォーキングやサイクリングなどの軽度な有酸素運動を一日30分程度(または1回10分程度を数回)、週に3~4日行うことで、高血圧を改善する効果があることが分かっています。
  • 適正体重の維持
    塩分と同様に、カロリー摂取過多による肥満も高血圧を引き起こしてしまう大きな要因です。
  • 節酒
    習慣的な大量の飲酒は血圧を上昇させます。飲酒を控えることで、数日で血圧が低下することが確認されています。
  • 禁煙
    タバコを吸うと、ニコチンが副腎を刺激し、血圧を上昇させるホルモンを分泌します。さらに交感神経の興奮により血圧を上昇させます。
    また長期的には動脈硬化も進行させるので、狭心症や心筋梗塞のリスクも高まります。

薬による治療

降圧薬の種類は患者様の基礎疾患に応じて選択し、薬の反応を見ながら目標血圧に到達するまで調整していきます。血圧の到達目標はご年齢や基礎疾患により異なります。
高血圧症治療薬の種類には、大きく分けて3つのタイプがあります。血管を広げる薬と、心臓の過剰な働きを抑える薬、余分な水分や塩分を排出する薬です。

  • 血管を広げる薬
    カルシウム拮抗[きっこう]薬
    ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
    ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
    レニン阻害薬
  • 心臓の過剰な働きを抑える薬
    β[ベータ]遮断薬
  • 余分な水分や塩分を排出する薬
    利尿薬

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