アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
慢性的に経過する皮膚炎ですが、かゆみのある湿疹が、さまざまな刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。慢性的ではありますが、適切な治療をきちんと受ければ、いずれ治ったと同様の状態になることが期待されます。ただし外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びついて、炎症を引き起こすことがあります。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎の症状としては、かゆみ・特徴的な湿疹と分布・症状を繰り返すという3つがあげられます。
そのほかにも
- 赤みがある
- ささくれだって皮がむける
- 左右対称にできる
という症状もよくみられます。
湿疹はプツプツと盛り上がりのあるもの、ジクジクと水分の多いもの、ゴツゴツしたしこりのようなものがよくみられ、掻くことによって皮膚が厚くゴワゴワした状態になったり、かさぶたができたりします。できる部位としてはおでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすいという特徴があります。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下した乾燥状態に、アレルゲンの侵入やストレスなどの多様な環境的要因が重なってアレルギー炎症が起こりかゆみや湿疹が出ると考えられています。
アトピー性皮膚炎の診断基準
すでに日本皮膚科学会で「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」が作成されていますので、それに従って診断されます。
UKWPの診断基準
大基準と3項目以上の小基準を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断する。
大基準
- お子さんは皮膚がかゆい状態である。または、両親から子供が皮膚を引っかいたり、こすったりしているという報告がある。
小基準
- お子さんはこれまでに肘の内側、膝の裏、足首の前、首のまわり(9歳以下は頬を含む)のどこかに皮膚のかゆい状態がでたことがある。
- お子さんは喘息や花粉症の既往がある。または、一等親以内に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある。
- 過去12ヶ月の間に全身の皮膚乾燥の既往がある。
- 関節の内側の湿疹(3歳以下は頬・おでこ・四肢外側を含む)が確認できる。
- 1歳以下で発症している(3歳以下のお子さんにはこの基準を使わない)。
アトピー性皮膚炎の治療法
薬物療法
ステロイド剤と保湿剤を主に使用します。そのほかには免疫抑制剤の外用薬としてタクロリムス水和物軟膏(2歳以上)、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬があり、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬という内服を使用することもあります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の外用薬がありますが、抗炎症効果がきわめて弱いうえ、接触皮膚炎を生じることがあるため、アトピー性皮膚炎にはあまり使われません。
予防
皮膚の洗浄
石けんはよく泡立てて、強くこすらず、丁寧に洗い、しっかりとすすぎましょう。
保湿
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下して肌が乾燥しています。炎症が生じると皮膚のバリア機能がさらに低下して乾燥肌がより進んでしまうためしっかりと洗ったあとは、治療と同じくらい保湿も大切です。